親の介護を考え始めた際によく耳にする「特別養護老人ホーム(特養)」とはどんな施設なのでしょうか?
本記事では、費用や入所条件、施設の特徴、他施設との違いまで、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説します。

特別養護老人ホームとは
何ですか?
特徴や条件について
特別養護老人ホームは、原則要介護3以上で、寝たきり又は認知症などのために常に介護を必要とし、自宅で介護を受けることが難しい方のための介護施設のひとつです。
略して「特養」と呼ばれ、終身に渡って介護が受けられます。
特養では入浴、排せつ、食事などの介護に加え、日常生活の介護、機能訓練、健康管理及び療養上の介護を行います。
入居条件・どんな人が対象?
入所申し込みができるのは、- 要介護3以上の認定を受けている方
- 要介護1または2の認定を受けている方のうち、特例入所の要件に当てはまる方
が対象です。
介護スタッフが24時間常駐しているため、必要なときに介護を受けることができます。
長期の入居ができること、前払金が不要といったメリットがあります。
- 認知症であり、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態
- 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態
- 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態
- 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態
- 上記以外の理由により、在宅で生活することが著しく困難な状態
上記を満たしている場合、特例での入所が認められることがあります。
入居者の状況
横浜市の特別養護老人ホームの利用率(定員に対する入居者の割合)は、約95%前後と非常に高い水準で推移しています。しかしながら、横浜市においては、入所申し込みをされた方のうち約7割の方が半年以内に希望の施設に入所できています。 特定の医療的ケアが必要な場合や、認知症の程度・心理的状態等により、早期入所に至らない場合もありますが、そういった場合は、高齢者施設・住まいの相談センターに相談をし、他の施設の案内や提案を受けることができます。
特別養護老人ホームにかかる
費用はいくら?
特別養護老人ホームの入居費用は、介護サービス費(1~3割負担)+居住費+食費+日常生活費で構成されます。相部屋タイプの「多床室」、個室と共用スペースがある「ユニット型個室」などのタイプがあり、自己負担額は介護度や施設、居室の種類によって異なります。また、所得や資産状況に応じて減免制度の利用が可能です。具体的にはこちらをご参照ください。
介護サービス費
(自己負担分)
介護サービス費は、介護保険が適用されるため原則1割負担(一定所得以上は2割または3割)です。
例えば、1ヶ月あたりの自己負担額は要介護度やサービス内容によって異なりますが、目安として約20,000円~32,000円程度となります。
居住費・食費
(自己負担分)
居住費と食費は介護保険の対象外となるため、全額自己負担です。部屋のタイプや所得状況によって異なりますが、標準的な負担額は下記の通りです(1日あたり)。
| 個室の種類 | 住居費(日額) | 食費(日額) |
|---|---|---|
| 多床室 | 915円 | 1,545円 |
| 従来型個室 | 1,231円 | 1,545円 |
| ユニット型個室的多床室 | 1,728円 | 1,545円 |
| ユニット型個室 | 2,066円 | 1,545円 |
月額換算(30日)では、居住費は多床室で約27,450円、ユニット型個室で約61,980円、食費はどの居室でも約46,350円となります。
【補足】所得に応じた負担限度額(補足給付)所得や資産が一定以下の方は、「介護保険負担限度額認定証」の申請により、居住費・食費の自己負担が軽減されます。
| 区分(段階) | 居住費(多床室/日) | 食費(日額) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 0円 | 300円 |
| 従来型個室 | 1,231円 | 1,545円 |
| 第2段階 | 430円 | 390円 |
| 第3段階① | 430円 | 680円 |
| 第3段階② | 530円 | 1,420円 |
※第1段階は生活保護受給者や老齢福祉年金受給者等が該当。第2・3段階は世帯全員が市町村民税非課税で、収入・預貯金額により区分されます。
申請方法
負担限度額の適用を受けるには、区役所の窓口で「介護保険負担限度額認定証」の申請が必要です。
その他の費用
日常生活費(理美容代、嗜好品代など)は別途自己負担です。
利用者の自己負担は、介護サービス費の1割(所得により2~3割の場合あり)+居住費・食費・日常生活費です。例えば要介護5の方の場合、月額の自己負担目安は多床室利用で約10万円前後、ユニット型個室利用で約14万円前後となります。
特別養護老人ホームの
サービス内容
日常生活の介護・支援
入浴、排せつ、食事などの日常生活に必要な介助を中心に、掃除や洗濯などの生活援助も行われます。
機能訓練
入所者の心身の状況に応じて、日常生活を営むのに必要な機能を改善・維持するための訓練が提供されます。
健康管理・療養上の介護
施設内での健康状態の把握や、療養上必要な介護を実施します。看護師や医師(非常勤含む)が配置され、日々の健康管理や必要な医療的ケアをサポートします。
レクリエーション・
社会生活支援
施設内では教養娯楽設備が整備され、適宜レクリエーション行事や外出の機会も設けられています。家族との交流や地域とのつながりも重視されています。
【補足】
最期の時間に寄り添うケア
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護高齢者のための生活施設であり、人生最期まで生活できる場となっています。入居者が最期まで安心して過ごせるよう「看取り介護(みとりかいご)」が制度として整備されており、多くの施設で実際に看取りが行われています。厚生労働省の調査によれば、特養の約7割がこの制度を導入しており、横浜市でも9割以上の施設が見取り介護を実施しています。今後もその体制強化が求められています。
特別養護老人ホームの
メリット
費用負担が比較的軽い
特養は他の介護施設に比べ公的な助成が多いため、入居費用や月額利用料が比較的安くなる傾向があります。
包括的・継続的な介護サービス
入浴・排泄・食事などの介護、日常生活の介護、機能訓練、健康管理、及び療養上の支援など、包括的なサービスを継続して受けることができます。
長期・終身利用が可能
入居期間に制限がなく、看取り介護まで対応しているため、最期まで安心して暮らすことができます。
要介護度が高い方に対応
主に要介護3以上の方を対象とし、中重度の要介護者を支える役割が明確に位置付けられています。
特別養護老人ホームの
居室タイプ
特別養護老人ホーム(特養)には、従来型、ユニット型などがあり、入居者のプライバシーや生活スタイルに配慮したさまざまな居室タイプが設けられています。
ユニット型
特徴
1ユニット(生活単位)あたりおおむね10人前後で構成され、各入居者に完全な個室が提供されます。プライバシーが確保され、個人の所有物を持ち込みやすいなど、個別性を重視したケアが可能。また、個室の近くには共用スペース(リビング)が設けられ、家庭的な雰囲気の中で生活できます。
広さの基準
原則として1人あたり10.65平方メートル以上。
従来型
特徴
従来型施設には、2~4人程度が同じ居室で生活する多床室のほか、一部に個室も設けられています。
居室は廊下に面して配置されることが多く、食堂や浴室などの共用設備は居室とは別に設けられています。
多床室は個室と比べて利用者の費用負担が抑えられる点が特徴です。
広さの基準
1人あたり10.65平方メートル以上が原則。
特別養護老人ホーム
以外の施設の特徴
「有料老人ホーム」の場合
有料老人ホーム
老人福祉法に基づき、都道府県等への届け出により設置される民間または社会福祉法人等の施設です。主に高齢者本人や家族が契約して入居し、「食事の提供」「介護」「家事」「健康管理」などのサービスを一つ以上提供することが要件です。
「介護老人保健施設」の場合
介護老人保健施設(老健)
介護保険法に基づく施設で、病状が安定している要介護者に対し、「在宅復帰」を目指して、看護・医学的管理のもとで介護・リハビリ・必要な医療や日常生活のケアを提供することが目的です。
「養護老人ホーム」の場合
養護老人ホーム
経済的・環境的理由で自宅生活が困難な自立高齢者が対象で、主に生活支援や社会活動の援助を行います。入所手続きも、特養は契約方式、養護老人ホームは市町村の措置方式と異なります。
特別養護老人ホームを
利用する際の手順
特別養護老人ホームは、原則、要介護3以上で、寝たきり又は認知症などで常に介護を必要とする方しか利用することはできません。要介護1・2の方は、特例入所の要件に該当する場合、特例的に入所が認められます。
介護保険の申請がまだの方は区役所(高齢・障害支援課)で申請をすることが必要です。地域包括支援センター(地域ケアプラザ等)に代行してもらうこともできます。地域ケアプラザのページでは、お住まいの住所から、担当する地域ケアプラザを検索できます。
相談
要介護認定を受けていない場合は、地域ケアプラザや区役所に「特別養護老人ホームに入所したい」と相談します。すでに要介護認定を受けている場合は、STEP4に進んでください。
申請
区役所に要介護認定の申請をします。申請には介護保険被保者証が必要です。かかりつけの医療機関名、医師名などがわかるもの、40~64歳までの方は、医療保険証等が必要になります。
要介護(要支援)認定
認定調査と主治医意見書の内容をもとに、審査判定し介護度が決まります。
認定通知書は郵送で届きます。
施設の選定、申込
希望施設を選び、申込を行います。施設選びでお悩みの場合は、「高齢者施設・住まいの相談センター」で、施設選びの相談、情報提供をしてもらえます。
利用
入所できる順番が来たら施設から連絡があります。施設と契約し、入所します。
申込方法の詳細が気になる方は、横浜市特別養護老人ホームの入所申込みについてを見てみてください。
高齢者施設・住まいの相談センターでは、施設選びや住まいの相談、情報提供をしてもらえますので、相談してみてくださいね。



