健康寿命を延ばすコツ -口腔ケア編-

健康寿命を延ばすコツ -口腔ケア編-

楽しく「食べる」「話す」に欠かせない、口の機能を維持しよう

口腔ケア

『健康寿命』を延ばすためにできることでは、「健康寿命」とは何か?の説明と、健康寿命を延ばすために知っておきたい5つの要素をご紹介しました。 今回はその中から「口腔ケア」にフォーカスし、加齢とともに起こる口の機能の低下についての知識と、それを防ぐために知っておきたいケアをご紹介します。

お口の健康は、日常生活のさまざまなことにつながっている

ごはんを食べる、おしゃべりをするなど、私たちが毎日欠かさず使っている「口」。実は年をとるとともに、口の機能が低下するということをご存知ですか?

加齢により心身の機能が低下し、健康と要介護の中間の状態を指す「フレイル」のように、加齢とともに起こる口腔機能の低下のことを「オーラルフレイル」といいます。口の衰えは身体的、精神的、社会的な健康とも大きな関わりを持っており、オーラルフレイルが全身の老化につながることもあります。

口腔機能の維持は、栄養をとるために食べ物を噛んだり飲み込んだりするほか、力を入れるときにしっかり噛めたり、滑舌を保つことで楽しくおしゃべりができるなど、普段の生活にさまざまな良い影響を与えてくれます。

フレイル予防の図

「オーラルフレイル」ってどんな症状?

オーラルフレイルは、いくつかの段階を経て進行していきます。食事をよく食べこぼすようになる、固いものが噛みづらくなる、お茶や汁物でむせる、話すときに滑舌が悪くなるなど、年齢とともに、ささいな口の機能の衰えの症状から始まります。

オーラルフレイルの図

※オーラルフレイルQ&Aより引用 著者:平野 浩彦、飯島 勝矢、渡邊 裕

オーラルフレイルの危険性があるかどうか、下記の質問でチェックしてみましょう。

オーラルフレイルのチェック表

合計点数が3点以上の方は、かかりつけの歯科を受診することをおすすめします。

オーラルフレイルを防ぐためには

毎日の歯磨き

口の中にはたくさんの菌がいます。むし歯や歯周病を防ぎ、口腔内の健康を守るためには、毎日の歯みがきをきちんと行うことが大事です。
特に歯と歯の間や、歯と歯肉の境目、奥歯の咬み合わせなどの部分は食べかすや汚れが溜まりやすいので、よりしっかりとケアを行いましょう。
歯と歯の間は歯間ブラシやデンタルフロスを使うなど、場所に合わせて1本ずつ丁寧にみがいていくことが大切です。入れ歯を使用している場合はお手入れをして清潔に保ちましょう。

お口の体操

飲み込む力を鍛えたり、唾液の分泌を促したりすることも、オーラルフレイルを防ぐために効果的です。
今回は、口を使うときに必要な筋肉を鍛える頬と唇の運動と、唾液の分泌を活発にしてくれる唾液腺のマッサージ2種類をご紹介します。

⚫︎頬・唇の運動

頬・唇の運動
<頬・唇の運動>

① 口を閉じて、頬を片方ずつ膨らませたり、すぼませたりします。

② 口を大きく開け、舌を突き出して上下左右に動かし、最後に舌で唇をぐるっと舐めます。 口を大きく開き、上下左右にまんべんなく動かすことで、口のまわりの筋肉を鍛えることができます。

⚫︎唾液腺のマッサージ(耳下腺)

唾液腺のマッサージ(耳下腺)
<唾液腺のマッサージ(耳下腺)>

両手を頬に当て、上の奥歯のあたりを後ろから前に向かって押しながらまわします。これを2,3回、繰り返します。ここには「耳下腺」という唾液腺があり、唾液の分泌を促してくれます。

⚫︎唾液腺のマッサージ(顎下線・舌下線)

唾液腺のマッサージ(顎下線・舌下線)
<唾液腺のマッサージ(顎下線・舌下線)>

親指を下あごの骨の内側のやわらかい部分に当て、耳の下からあごの先までゆっくり押します。これを2,3回、繰り返します。ここには「顎下線」「舌下線」という唾液腺があり、唾液の分泌を促してくれます。

定期的な歯科受診

「かかりつけ歯科医」を見つけて定期的な歯と口の健康チェックを行いましょう。具体的な症状が出てからではなく、予防として、定期的に受診をすることが重要です。しばらく受診していないという方は、通いやすい距離の歯科医院を探して、まずは歯の健診を受けることから始めてみてはいかがでしょうか。