花と緑と人が一体のまちづくりくり。「大原西公園愛護会」の活動
2023年8月7日
毎日暮らす街の何気ない公園に咲くお花を、気にかけたことがありますか?
今回は、地域の公園の自然を保全する公園愛護会を訪ねました。
大原西公園愛護会の活動とは?
ここは、旭区にある「大原西公園」。自然がひろがり、子どもたちが自由に遊べる遊具も充実しています。
この公園で、お花を植えたり、掃除をするなど手入れをしているのが、「大原西公園愛護会」の皆さんです。
公園を守ることは、自然を守るだけではなく、人が集まる居心地の良い環境づくりでもあります。
地域の子どもたちと花苗を植える緑化活動や、公園の危険防止のために伐採した欅の木は臼に加工して、「園友会」と呼ばれる季節のイベントでのお餅つきで活躍しているそう。
大原西公園愛護会は昭和51年、この地区の自治会と同時に発足し、公園の清掃・整備を継続してきました。
自治会員の全世帯が公園愛護会に参加していることも、この地域の大きな特徴のひとつです。
地域一体となって「花と緑と人が一体のまちづくり」をしてきた活動が評価され、横浜市で初めて「令和4年緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」を受賞。記念碑も建てられています。
公園の緑化からつながる地域の輪
取材に訪れたこの日、近隣の小学生たちが探求授業で公園に訪れていました。
チームごとに質問をし、愛護会のみなさんが丁寧に回答。その後一緒に花を植える活動も。
この授業は年間通して行われるそうで、「手伝ってもらったあの野菜、大きくなりました!」という小学生の報告からは、継続した関係性が築かれていることを感じ取れました。
こうして活動を共にすると、公園でたまたま会ったときにも「こんにちは!」と挨拶をする仲になり、地域の見守りの役割を担うことにも。
ある愛護会の方は、「子どもたちとの活動は元気になるね。」とおっしゃっていました。
好きなことや得意なことから生まれる役割分担
この日参加されていたのは、農家出身の方や、土いじりが好きな方、定年退職するまで仕事一筋のサラリーマンだった方まで色々。
「次はこんな花を植えよう!」と提案する人がいて、「それならここを耕して植えよう!」と手を動かす人がいる。それぞれの好きなことや得意なことから、自然と役割ができるそうです。
参加していた方のほとんどが、自治会を構成する公園愛護会以外の活動「緑の会」「子ども会」「お助け隊」などでも役割を持っています。
「定年退職後、何をしたら良いのか考えていたとき、活動に誘ってもらったのが始まり。」
「公園を綺麗にすることによって、みんなが気持ちよく公園で過ごせる。
言われたからやるんじゃなくて、みんなで綺麗にしよう!っていう気持ちでやっています。」
参加のきっかけはちょっとしたことだったり、みなさんが自主的に参加されていることも印象的でした。
他にも、交通看板が歪んでしまった時には板金工事が得意な方が協力して修理するなど、公園にまつわる様々な事柄で、それぞれの得意なことを活かしながら活動されています。
それぞれが役割を持ち、お互いに連携しあうことが、活動を続ける秘訣なのかもしれません。
”やるなら楽しく!”地域の人がもっと喜ぶアイディアを
渋谷八郎さん(大原西公園愛護会 会長)は、定年退職後に自治会の活動に参加するようになりました。
それまでは仕事一筋の生活を送られていましたが、「子どもたち含め家族でお世話になった地域。次は自分達が貢献する番かもしれない。」と考え自治会の活動を引き受けることに。
渋谷さんは、それまでの活動を引き継ぐだけではなく、地域の方がもっと喜ぶアイディアを自ら出し、様々なことを企画・実施されています。
「せっかくやるなら楽しい方がいい。何かして喜んでもらえると嬉しいよ。」と、まさに嬉しそうに話してくださいました。
携わる中で、やりがいを感じられる役割を自分から作っていくことが、渋谷さんの楽しみ方。
また渋谷さんは、「お陰様・お互い様・ごきげんよう」という言葉を、自治会の合言葉と決めて大切にしています。
「この言葉には日本の心のようなもの、昔見た風景に近いものを感じるんです。今も、”あの人がいてくれてよかった”ということが沢山あります。みんなの力があってこそ、できているんです。」
緑化活動を通じた「花と緑と人が一体のまちづくり」には、こうした気持ちや思いがありました。
”参加したい”という気持ちを大切に
渋谷さんは、地域活動に参加するハードルについてこう話してくれました。
「参加したいと思ったことに参加し、やりたいと思ったことをやればいい。無理しちゃいけないんです。」
無理にお誘いしてもうまくいかなかったご自身の経験から、渋谷さんはもっと気軽に「参加したい」と思えるような映写会なども自治会で企画するようになりました。
また、最初のきっかけがあれば、あとは自然と誘い合ったりしながら輪が広がっていくそう。
いま地域の活動に興味がある方は、まずは「参加したい」と思える活動を探してみるのが良いかもしれませんね。
ご案内
編集後記
「花が好き」「綺麗な方がいいよね」という素直な言葉がたくさんあったことが印象的です。
落ち着いているけど楽しそうで、これが大原西公園愛護会のみなさんの日常なんだと感じました。また、自分の特技やスキルを活かせる場所があることは、日々の張り合いになっているように見えました。
地域には様々な活動があります。自分に合った活動が地域にあるか探してみたい方は、お近くの地域ケアプラザに相談してみてくださいね。