居心地の良い森を作る、中田宮の台市民の森愛護会
2023年9月25日
泉区の住宅街に隣接する1.3ヘクタールの森
中田駅から20分ほど歩いた住宅地にある「中田宮の台市民の森」は、散歩道やベンチが整備され、誰でも自由に利用することができます。
この森の保全活動をしているのが、中田宮の台市民の森愛護会です。
中田宮の台市民の森愛護会は、 横浜市と協力し、住宅街の一角、約1.3ヘクタールの市民の森で、草刈り、間伐、清掃などの活動をしている団体です。
会員は、50歳代から90歳代からなる33人(2023年2月時点)
毎月第2日曜日の10時からと、その週を除く毎週木曜日の10時から、月4回の活動をしています。
この他にも、月に2度、森の散策会を開催し、毎回多くの参加者で賑わっているそう。
昨年度は、子どもたちに向けた植樹体験などのイベントも開催し、今後も定期的に会員以外の方々とも自然と触れ合う機会を設けていく計画をしています。
季節や森の環境の特徴に合わせて森をお手入れ
愛護会の活動は、朝のミーティングから始まります。
この日は、前回間伐した枝を機械でチップにし、道に敷き詰める作業。それぞれ役割分担を確認し、準備に取り掛かります。
森を整備するための道具は、横浜市の協力で専門家から使い方のレクチャーを受けて使用しています。
一つの森の中でも、野草を楽しむエリア、散歩道を楽しむエリア、昆虫が生息しやすいエリアなど、場所によって環境の整え方が変わります。
季節に合わせてそれぞれの植物、生き物に必要な環境を作っていく計画を立てているそうです。
植物や生き物がお互いの成長に干渉しないように、人の手で整理していくことも、この森を保全していく大切な作業です。
四季を楽しむ森づくり
斎藤 猛さん(中田宮の台市民の森愛護会 会長)にお話を伺いました。
「春には桜とうぐいすの鳴く声を楽しみ、夏には昆虫たちと遊び、秋には紅葉、冬は落ち葉を踏みしめて。一年中楽しいんです。」
季節ごとに森の様子が変わり、草花へのメンテナンス方法も変わるため、一年中作業の内容も変わり大忙しだと言います。同時に、楽しみも次から次へとやってきます。
今取り組んでいるのは、うぐいすが巣を作りやすい藪を作ること。春になって、うぐいすの鳴き声を聴くのが楽しみだそう。
また、「どうすれば、森を訪れた人がもっと居心地良く感じるか」を考えるのも楽しみのひとつです。
歩く人を想像して、遊歩道の近辺の木々の葉を間引いたり、秋には紅葉のトンネルができるように剪定したりするなど、居心地の良い森づくりをしています。
丁度良い運動や、新たな興味も
愛護会の設立10周年を記念して発行された冊子には、会員の方々のこんなコメントが掲載されています。
「私にとって宮の台市民の森は、丁度良い運動と健康維持のための場になっている。」
「宮の台の森の自然に触れてから、横浜を歩いて色々な植物に興味を持って触れることができるようになりました。」
「私にとって愛護会活動とは、みんなで楽しみながら体を動かすことです。」
それぞれ役割があり、森づくりに必要な道具の使い方が少しずつ上達していくのも活動を通したやりがいの一つだそうです。
気軽に自然と関わるなら、イベント参加から
斎藤さんは、気軽に愛護会の活動に参加してほしいと、日頃からこまめに地域の方に声かけをしていると言います。
また、主な活動は平日ですが、普段仕事をしている方にも参加してもらいやすいように、日曜日にも活動日を用意しています。
中田宮の台市民の森などで開催される、一般向けの森づくり活動体験イベント·森づくりボランティア情報は、横浜市のホームページや、広報紙(よこはま森のニュースレター)で確認することができます。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
この森以外でも、森づくりの活動が気になった方には、「森づくりボランティア」がおすすめです。
横浜市の取組み、「森づくりボランティア」って?
森づくりボランティアは、横浜市内の森で活動をしてみたいという方のための制度です。
まずは個人で登録し、横浜市からの情報提供や研修等を受けながら、森づくり活動に関する知識や技術の向上を図ります。
作業としては、間伐や草刈り、落ち葉掃きといった森のお手入れなど。
「市民の森」は横浜市内に40か所以上あり、今回紹介した「中田宮の台市民の森」もそのひとつ。個人ボランティアの次のステップとして、横浜市内の活動団体に加入することもできます。
最新の情報は、森づくりボランティアについてをご確認ください。
編集後記
お互いの役割を把握し、阿吽の呼吸で作業をしている姿が印象的でした。
何気ない会話なども、活動を通して生まれる会員同士の大切なコミュニケーションだと伝わってきます。
森と過ごしていると、季節と一緒に楽しみや役割が次々とやってくる。それが毎日の糧になっているように感じました。
これまで自然と触れ合う機会がなかった方も、こうした活動から、日本の四季を感じてみるのもいいですね。