地域住民、消防団、商店街など横のつながりで実現する災害対策
ヨコハマ元町震災協議会は、自治運営会、消防団、老人会、
近隣の3つの商店街組合と山手西洋館を管理する横浜市緑の協会が主となり、
地域の防災に取り組んでいる団体です。
この協議会が中心となり、定期的な避難訓練や、「いのちのハンカチ」という安否確認を目的とした独自の訓練などを行なっています。
いざというとき、みんなで協力しあえるまちにしよう
今回は、このヨコハマ元町震災協議会の発起人となった森田満夫さん(ヨコハマ元町震災協議会 事務局長)にお話を伺いました。
ヨコハマ元町震災協議会は平成20年に設立。
当時、地域の消防団員だった森田さん。
消防署主催の研修会に参加した際に、自分達のまちは自分達で守らないといけないと感じました。
避難するだけではなく、地域住民自らがお互いに助け合えるように想定しておくことが大切。
そこで、「援助の手を待つより自分達で救援・復興活動ができるまちにしよう」と、この協議会を立ち上げました。
年に2回の避難訓練
元町では、地域住民や近隣の商店街、教育施設などが一体となり、年に2回の避難訓練を実施しています。
実際の災害を想定し、「いっとき避難場所」に指定している公園へ避難。
丁目ごとに協力しながら避難できるような仕組み作りをしています。
また、消防署の協力のもと消化器を使った消火訓練なども行います。
日頃から訓練をしている消防団だけではなく、誰でも訓練に参加できる機会を作ることで防災対策を身近なものにしています。
毎月1日は、「いのちのハンカチの日」に。
ヨコハマ元町震災協議会では、災害時に安否を知らせるサインとしてタオルを掲げる「いのちのハンカチ」という独自の仕組みを作っています。
地域の全住宅、店舗などに配布した指定のタオル。
毎月1日を「いのちのハンカチの日」と決めて、それぞれ自宅の窓やドア、店舗の店先に掲げる訓練をしています。
震災時、タオルが出ていない家や店舗から救援活動に入り、少しでも早く助け出そうと、ヨコハマ元町震災協議会が独自に考えた安否確認のアイディアです。
このように、地域住民と消防団、商店街が協力して防災に取り組んでいます。
まちの人にもお話を伺いました
商店街でお店を営む松下好克さんにもお話を伺いました。
「自分は元町でお店をやっているけど、店舗の2階に住んでいるから元町の住民です。元町は仕事も生活も同じ場所の人が多いから、まちへの愛着を持っている人が多い。これが、自分達で自分達のまちを守ろうって団結する1つの理由かな。」
また、森田さんのように熱い思いを持ち、リーダーシップをとってくれる人材はとても大切だと言います。
災害はいつ起こるかわからないため、継続的な取り組みが重要。
こうして地域住民や複数の団体をつなげ、連携しながら地域の防災対策を根付かせる活動に、まちの人も賛同しています。
今後も地域の特性や、時代に合わせた災害対策を
防災は、海沿い、山沿い、川沿いなど、それぞれ地域の特性にあわせた対策が必要です。
元町という地域の特性は、買い物や観光を目的として多くの人が集まること。
いざという時には、地域住民や商店街でお店を営む方だけではなく、まちへ訪れた人のことも考えた対策が必要になると予測されています。
そのためにも、地域住民がまずは自分の命を守る、そしてまちを守る。災害時に強いネットワークを継続して築いていくことが、今後も大事だと森田さんが教えてくれました。
情報共有の方法が多様になってきたことも今後の課題のひとつ。
これまでの回覧板や掲示板などに加え、SNSなどを取り入れることなども検討しています。
また、災害時には停電により電子機器が十分に使用できないことを考慮し、公衆電話の設置や場所の周知にも力を入れていくそうです。
こうした情報交換にも、地域の横のつながりが大事だと森田さん。
地域のお祭りへの参加や、すれ違うときにする挨拶など、日頃から地域の人同士でつながり、声を掛け合うことが一番の防災対策だと教えてくれました。
information
ヨコハマ元町震災協議会事務局
協同組合 元町SS会
〒231-0861 横浜市中区元町1-14
TEL:045-641-1557 FAX 045-664-9473
編集後記
お話を伺い、防災に関して、日頃から地域のつながりが必要なことがわかりました。
地域ごとにさまざまな防災活動の取り組みがありますが、ここでは商店街と日々の暮らしがとても近い距離にあるからこその横のつながりや、まちへの愛着が強く、防災対策への連携が地域のなかで根付いているように感じました。
避難訓練などの防災に関する活動は、地域ごとに多くの場所で行われています。この記事を読んだことをきっかけに、まずは、ご自身の地域の活動に参加してみてはどうでしょうか。