カフェ?サロン? 60歳代から80歳代までのボランティアが活躍する地域コミュニティの拠点『サロンほっとサライ』

シャッター商店街の一角を活用した地域コミュニティ

サロンほっとサライの室内

 

横浜市南区にある「サロンほっとサライ」は、集合住宅地の中にある商店街の一角を改装して立ち上げたコミュニティサロン。

平日の11時~15時はランチや軽食を食べることができ、その他の時間は、団地に住む外国出身の方が主催する郷土料理のイベントや、百人一首、映画鑑賞会なども行い、団地や近隣の方々の集まる多世代交流の拠点となっています。

 

人気メニューのカレー

家庭的な味わい。彩りで添えられたブロッコリーとカボチャが嬉しい。

 

取材で訪れたこの日も店内は近隣住民のお客さんで賑わっていました。

メニューは人気のカレー。家庭的なほっとする味のカレーにブロッコリーとカボチャが彩りを添えてくれます。柿は小学校で採れたものでした。

このメニュー決めや調理は、全部で25名のボランティアスタッフが行っています。その平均年齢は76歳だといいます。

今回は、「サロンほっとサライ」立ち上げのきっかけと経緯を、渡邊乃志男さん(NPO法人永田みなみ台ほっとサライ 事務局長)に伺いました。

高齢化が進む危機感と、地域にお世話になった気持ち

NPO法人永田みなみ台ほっとサライ 事務局長、渡邊乃志男さん

NPO法人永田みなみ台ほっとサライ 事務局長 渡邊乃志男さん

 

以前、この団地が栄えていた頃は、電気屋、魚屋、色々な商店がありましたが、現在は多くの店舗が閉店しシャッター商店街に。

そこで平成27年にこのシャッター商店街の問題を解決しようと、勉強会「寺子屋みなみ」に参加。そこで、まちの活性化が必要、このままでは高齢化ばかり進んでしまうので、なにか策を考えたらいいのでは。と、アドバイスをもらったことがきっかけに。

渡邊さん自身、子どもがふたりいる。幼稚園からこの団地で子育てをし、これまでたくさん地域にお世話になった思い出も。そんな気持ちからやはり何かこの地域に貢献できたら。と考え始めたそうです。

そこで「永田みなみ台まちづくり運営委員会」を結成。小学生を巻き込んで、『つながり祭』という交流イベントを実施することになります。

 

『つながり祭』の様子を写真で見せてくれる渡邉さん

『つながり祭』の様子を写真で見せてくれる渡邉さん

 

こうした経緯から、団地の空き店舗の活用や、地域の賑わいづくりのため、「NPO法人永田みなみ台ほっとサライ」の設立へとつながりました。区役所や自治会、地域ケアプラザなどの協力で2年強の準備期間を経て、シャッター商店街と化した建物の一角に「サロンほっとサライ」を開設。

協力団体として、近隣の保育園や小学校、中学校なども参加し、多世代交流も実現しています。

「ほっとサライの名前の由来はね、サライはペルシャ語でオアシス。”ほっとするオアシス”って意味。地域の人にとってそういう場所になったらってみんなで決めました。」

 

気が向いた時にふらっと立ち寄れる気軽さが大切

商店街の一角にあるサロン「ほっとサライ」

 

立ち上げて3年、当初は女性の利用者が目立ちましたが、最近は男性が1人で来ることも増えてきたといいます。

徐々に利用者が増えてきたことについて

「最初は私も、みんな集まれる場所だから、みんなを巻き込まなければと一生懸命だった。けど、様子をみたいとか、いろんな考えの人がいるんですよね。無理に誘うのではなく、気が向いたときに来れる場所を継続して開き続けることが大切だと今は思っています。」

と話してくれました。

かたや女性は、すぐに打ち解けてコミュニティができていくことが多く、皆さん「友達ができてよかった」と言ってくれるそう。

また、お客さん同士のコミュニティはもちろん、食事を提供してくれているボランティアスタッフとのコミュニケーションが、日々の変化や状況を知らせる大切なツールにもなっています。

渡邊さんの大事なパートナーたち

 気さくに話しかけてくれた店長の佐藤明美さん。

気さくに話しかけてくれた店長の佐藤明美さん。

 

ほとんど休みなくこのほっとサライで活動する明美さんの原動力は、食事をしに来てくれる近隣の方とのコミュニケーションだと言います。

「みんな明美さん。って呼んでくれてます。ご飯もだけど、自分に会いにきてくれるのかな。」

 

キッチンで料理を作るボランティアスタッフの皆さん

 

立ち上げ当初、多くの主婦が一堂に会せば味付けや食器の洗い方ひとつとっても三人三様。

話し合いを重ねながら、今の形があるんだとか。

家庭の味を求めに来てくれる。味付けがその日によって違っても、それがいい。

 

南区役所の高齢・障害支援課の難波紘平さん

南区役所の高齢・障害支援課の難波紘平さん

 

このほっとサライの立ち上げからサポートした、南区役所の高齢・障害支援課の難波紘平さんは「渡邊さんや明美さんのようなリーダーシップをとってくれる方々、ボランティアで参加する方々がいないとこの活動は始まらなかった。世代を超えた交流も活発になっており、南区にこうした活動があることが純粋に嬉しいです。」と話してくれました。

「食という日常に欠かせないものだからこそ、色々な人が利用してくれている気がします。」

 

扉のイラストがつなぐ絆、地域で子育て

ほっとサライの入り口には、一際賑やかなイラストが描かれた扉。

ほっとサライの入り口には、一際賑やかなイラストが描かれた扉。

 

渡邊さんは、サロンほっとサライの特色の1つである多世代交流はこの扉のイラストが中心になっていると教えてくれました。

「近隣の中学校の美術部員に6か月に一回描いてもらっています。美術部の生徒さんが、毎回イラストを描きにくるのを楽しみにしててくれてね。最初は数名だった美術部員が今では50名にまで増えたんですよ。」

毎回描かれる絵のテーマはほっとサライが決めています。「遊園地、海、珊瑚礁」どんなものを描いてもいいのですが、一つだけ条件があります。

「キャラクターなどかわいいくて親しみやすいもの」

近所に住む小さな子どもたちに楽しんでもらいたい。というのが一番の目的なのです。

渡邊さん自身、自分たちが子育てしていた頃も、地域全体に手伝ってもらっていた思い出があり、同じように恩返しをしたい。そんな想いが、子どもたちにとっても居心地の良い居場所づくりのきっかけです。

「いつも君たちの味方だよ。何か困ったことがあったらいつでもおいで。と言ってます。だからこそ、入りやすい扉にしたんです。」

それは、老若男女全ての人に開かれている扉でした。

information

サロンほっとサライ
場所:UR南永田団地2街区の商店街の一角
営業:日曜日、祝日以外はオープン
営業時間11:00〜15:00(火曜日、金曜日はランチ実施)

 

 

 

編集後記

「みんなにとってほっとするオアシスになる場所」。食事を提供する側もされる側も、それぞれが望む形で自由に集まれる場所でした。

今回は、この活動に様々な角度から携わる皆さんにお話を聞くことができましたが、幾度となくここに至るまでの苦労や想いに触れる場面があり、お話を伺っている私まで胸が熱くなりました。

それほどに、地域の皆さんにとって思い入れのある場所になっているのだと感じました。
それこそが、ボランティアスタッフの皆さんの元気の秘訣だと思います。

サロンは、ほどよい距離感の、大きな家族のような居場所になっていて
「一人じゃない」ということが、どれだけの安心と心強さをくれるのか、考えさせられました。

※この掲載内容は2023年1月19日時点のものです。

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